タイコウの家づくり

長持ちする家

家を建てるなら、だれもが「長持ちする家」を建てたいと考えます。ところが日本の家の寿命は短く、国土交通省の試算によると日本の住宅の平均寿命はおよそ30年です、アメリカやイギリスに比べ半分以下でしかありません。

(資料) 日  本:総務省「平成20年、平成25年住宅・土地統計調査」(データ:2008年、2013年)
アメリカ:U.S.Census Bureau「American Housing Survey 2003、2009」 (データ:2003年、2009年) http://www.census.gov/
イギリス(イングランド):Communities and Local Government「2001/02 , 2007/08 Survey of English Housing 」(データ:2001年、2007年)http://www.communities.gov.uk/
より国土交通省推計

その要因として考えられるのが「住宅の質」にあり、目に見えない「耐震・換気・気密・断熱・耐久」にあると考えます。
お客様にとって目に見えない部分であり、将来にわたり変えることが困難(不可能)な部分だからこそ大切にしたいと考えます。

耐震  耐震等級3

 日本は世界と比べ地震の多い国です。2016年の熊本地震の調査で耐震等級1(建築基準法)で建てられた住宅は倒壊や全壊した住宅が多く、耐震等級2(建築基準法1.25倍)の住宅は倒壊はしなかったものの半壊等でそのまま住み続けることは困難でした。
そういった状況で耐震等級3(建築基準法1.5倍)の住宅だけは2棟ほど軽微な損壊がありましたが(修繕で住み続けることが可能)その他は無傷でした。

(出典:一般社団法人くまもと型住宅生産者連合会)

大地震はいつ起こるかわかりません。そうしたことからも耐震等級3の家が必要と考えます。

換気 第三種排気型集中換気システム

 昨今ウィルスやハウスダスト、花粉、PM2.5、シックハウスなどの室内の空気汚染が騒がれています。2003年にシックハウス対策のための規制として換気設備設置が義務付けられました。
1時間で室内の空気を半分以上入れ替えれるよう義務付けられていますが、今現在もっとも多く使われている局所型パイプファンでは計算上は入れ替わりますが、実際計算のように換気が行えてるかというというと、気密が悪いと換気扇近くの隙間から空気が入り遠い部屋では十分な換気は行えません。
 また「看護覚え書」(ナイチンゲール著)にも

第一に『患者が呼吸をする空気を、患者の身体を冷やすことなく、屋外の空気と同じ清浄さに保つこと』

と書かれており、人間が健康に生活をしていく上でとても大切です。
そうした意味でも気密と共に適切な換気計画を行う上で第三種排気型集中換気システムが必要と考えます。


局所型パイプファン(イメージ)


第三種排気型集中換気システム(イメージ)

気密 C値1.0以下(ベストは0.5以下)

2020年現在のH28省エネ基準にはC値(隙間相当面積)の規定はありません。
H11基準では温暖地で5.0以下とありましたが2009年に削除されてからは記載されていません。(削除理由はいろいろあるみたいですが)

「エコハウスのウソ」(東京大学 前 真之准教授 著)には

いくらスカスカでも断熱性能さえ所定の厚みが入っていれば、気密性能がなくても等級4の断熱を名乗れることになってしまったのである。
今後、H25基準の仕様最低限だけの断熱性能材を突っ込んだ「なんちゃって省エネ基準住宅」が市場にあふれるのは間違いない。
しかし、「気密なき断熱は無力」、絵に書いた餅にすぎないのは間違いない。

とあり、断熱と同じぐらい重要です。
例えるなら「高級(高性能)なダウンジャケット(断熱材)を着ていても袖口や前が開いていれば(気密が取れていなければ)寒い」ということです。
また換気の時にも話しましたが「気密と換気の関係」の分かりやすい参考動画です(※LIXILさんの動画でスーパーウォール工法と説明されていますが工法は関係ありません) 

具体的にC値がいくつなら良いかと言いますと、下記の表はC値と給気口からの給気量を調査したものですが、計画的な換気をするためにも低ければ低いほど良いですが(その分コスト(手間)がかかるので)C値1.0以下(ベストは0.5以下)が必要と考えます。

断熱 冬期体感室温15度、夏季体感室温30度

17,000人  2011年(浴室での心肺停止状態を含む死亡者総数) 
1,731人  2010年(熱中症による死亡数
3,532人    2018年(交通事故死亡者数

断熱を評価する上で今使われている数値としてUA値(外皮平均熱貫流率)という数字があります。
H28省エネ基準(断熱等級4)に適合するためのUA値は0.87(益田市)となり2021年4月より建築士により省エネ基準に適合しているかいないかの説明義務となりました。

耐久 ホウ酸処理

木造住宅にとっての不安要素として、必ずと言ってよいほど挙げられるものに「虫害」、特に「シロアリ被害」が挙げられます。
いくら耐震等級3でも柱がシロアリの被害にあっては耐震性は損なわれてしまします。
下記資料でもわかるように5件に1件はシロアリの被害にあっています。


(出典:日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合 シロアリ被害実態調査報告書)
A区分:防蟻処理保証期間外、B区分:防蟻処理保証期間内、C区分:過去6年以内に駆除した物件

また今現在最も普及している防蟻処理剤はネオニコチノイド系薬剤が使われています。この防蟻処理剤を土台や、柱に塗り処理をしますがこの薬剤は揮発し、換気や気密が悪い住宅では室内環境を汚染します。また揮発することにより防蟻効果は最大でも5年しか持ちません。住宅を建てた後では壁の中などは再処理は不可能です。


(出典:日本ボレイト株式会社)

また欧州や欧米ではハチの大量死などとの因果関係も疑われることから農薬として使用禁止や規制に向けた動きにあります。

欧米諸国での防蟻処理としてはホウ酸処理が常識とされています。
ホウ酸処理のメリット

    1. 安全性  非揮発性で空気を汚さず、無色無臭。
    2. 持続性  ホウ酸は分解されないので、効果が減衰することがありません。半永久的。
    3. 機能性  シロアリだけでなく腐朽菌を抑える力もあります。

ホウ酸処理のデメリット

    1. ホウ酸は水に溶けるため土壌処理や処理後の木材が雨ざらしになる箇所には適していません。
    2. ホウ酸は即効性のある処理方法ではなく遅効性の物質のため、シロアリを完全に駆除するまでに時間がかかることもあります。

以上のことからデメリットはありますが適切に使用すればホウ酸処理がシロアリ対策に安全で効果的な方法の一つと考えます。