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「お客様の要望でも、プロとして『やめた方がいい』と断る理由。」
SNSや住宅情報誌を見ていると、魅力的なデザインや最新のトレンド設備がたくさん目に入ってきます。
「このおしゃれな庇(ひさし)のない外観にしたい」 「壁一面を大きなガラス張りのデザインにしたい」
一生に一度の家づくり。ご家族が思い描く理想や「こうしたい」という憧れを膨らませて打ち合わせに持ってきてくださる瞬間は、私たちにとっても非常に楽しみな時間です。
しかし、ご提示いただいたご要望に対して、私たちが「それはやめておいた方がいいです」とハッキリお伝えさせていただく場面があります。
■ 「言われた通りに作る」のが、本当のプロではない

住宅会社や工務店の中には、お客様との関係を悪くしたくない一心で、どんな要望にも「できますよ」と二つ返事で請け負ってしまうケースもあります。
しかし、デザイン上の流行や一時の見た目だけで仕様を決めてしまうと、住み始めて数年後に思わぬ代償を払うことになりかねません。
- 庇(ひさし)のないスタイリッシュな外観 雨の多い益田の気候では、雨水が外壁を伝ってダイレクトに垂れ、数年で目立つ雨ジミを作ったり、サッシの隙間からの雨漏りリスクを飛躍的に高めてしまいます。
- 複雑すぎる屋根の形状 谷(折れ目)が多い屋根は見た目こそ個性的ですが、落ち葉や雪が溜まりやすく、将来的な防水トラブルの引き金になります。
お客様が思い描く「今の理想」をただそのまま形にするのではなく、「10年後、20年後に住まいがどう変化するか」「益田の風土に耐えられるか」まで見通して助言することこそが、現場を知るプロとしての本来の責務だと考えています。
■ デメリットを伝えた上で、代わりの手段を育てる

もちろん、単に「ダメです」と拒否して終わりではありません。
「なぜそれをお勧めしないのか」という建築構造や耐久性上の理由を隠さずお伝えした上で、お客様が本当に叶えたかった「雰囲気」や「使い勝手」を損なわない別の設計案をご提案します。
- 雨漏りリスクを抑えつつ、シャープに見せる軒(のき)の出幅の調整
- 風の煽りや日差しを計算しつつ、外観の美しさを保つ窓の配置
見た目のデザイン性と、家としての耐久性・安全性。 そのどちらか一方を犠牲にするのではなく、プロの経験と技術によって高い次元でバランスを整えていく。
耳ざわりの良いことだけを並べるのではなく、リスクやデメリットまで含めて等身大の言葉で語り合う。それこそが、建てた後もずっと施主様の暮らしを守り続けるための、私たちの流儀です。

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